流れ星が消えないうちに(新潮社)橋本紡 以前「毛布おばけと金曜日の階段」について書いたときに、電撃文庫よりも集英社の単行本(小説すばるとゆー表現だったかも知れない)のが相応しいんじゃないかとを云った記憶がある。電撃、つーかメディアワークスの単行本として刊行された「猫泥棒と木曜日のキッチン」については書いたか忘れてしまったが、単行本として刊行されるのは当然として、やっぱテリトリー的には小説すばるだな、と思っていた。それが今回は新潮社だ。文芸春秋と並んで、小説の出版としては本流も本流。それも、中村うさぎの如きに自身をイロモノ媒体と化してのキャラ要素込み等ではなく、自身の文体の小説で登場している。小説すばるだなんて見縊っていて御免なさいと思わなくもないけど、方向性としては"鳥瞰する分には"一緒だし。(何故に小説すばるを連呼するのかというと氷室冴子作品(少女小説家は死なない)による刷り込みがあるからです)
で。本作は、恋人と死別し、その友人と付き合っている女の子と、死した親友の恋人と付き合っている男の子の、淡々とした日常の話だ。位置付け的には、毛布お化け~キッチンからの流れそのままに、心に傷を持つ女の子と男の子の話とゆー事実上の連作といえる。何れかを読んでいれば何と無く想像できる雰囲気だけは多分間違っていない。だから何れかに好感を持っていたら、どうぞと云っておく。感想文は書きたくないので僕自身の印象だけ述べると、佳作であることは間違いないけど、『毛布おばけ~』の時に感じた衝撃はなかったなって処。余程に巧くなってるんだけどね。
最後に本当に余談となるけれど、これってば普通の単行本だから、通称ライトノベルで慣例となっている"あとがき"は収録されていない。代わりと云っては何だが、
『波』(2006年3月号 29頁)に、簡単な作者インタビューが収録されている。読書誌のこと
僕は、新潮社の
『波』と岩波の
『図書』を定期購読している。
他社も、集英社であれば
『青春と読書』、角川であれば
『本の旅人』、ちくま書房であれば
『月刊ちくま』、みすず書房であれば
『月刊みすず』と云った具合に、発行されている。
これらに掲載されている文章の、およそ半分は自社の刊行物に対するPRなのだが、読書感想文的なものではなく、ほぼ例外なしにエッセイとして成立している。他にも出版社が自前で抱えなきゃ成立してないような連載が幾つか掲載されていて、此が楽しい。そのひとつとして『波』には星新一の『夜明けあと』が掲載されていた、と云えば判る人は判るだろう。出版社のカラーが、此ほど如実に表れる冊子もないっちゃない。余り店頭に並ばない種類の刊行物リストも載っているので、僕にとっては必須の類だ。
※『夜明けあと』(新潮文庫)星 新一
島崎藤村著『夜明け前』に対応したタイトルから判るように、
明治期の新聞記事の抜き書きを経年的に羅列したものに、星新一氏一流のコメントが添付されたもの。"明治"という時代が如何なるものであったかが肌身で判る希有な著作。気楽に読める割に、読み手次第では様々な物が汲み取れるので、未読の方は一度読むこと。(明治期の大衆の間抜けさ加減を知ると、途上国の無様を嗤う事が出来ない)
思い出しついでに。以前は書店の有燐堂で発行している
『有燐』も取っていたけど、更新を忘れてそのまになってしまった。この手の出版事業も行っている書店で発行しているパンフレット類は、書評誌でも取り零すような少部数刊行物を拾っていて、それらには存外興味深い物が多かったりする。とか云って僕は書評誌は読んでないんだけどね。(未読の図書についちゃ"紹介"は読んでも"書評"は読まないんだわさ。ってゲームでも一緒か)
割と小銭で定期購読出来るので、全集物を買っちゃう事のある人はどうぞ。(みすずのはちょっち高いけど。集英社と角川のは無償配布してる書店が結構あるのよね)
・木漏れ日の並木道(DENGEKI COMICS EX)画:結城みつる
電撃大王で、えろげのコミカライズやってるとろくな事にゃならんのだけど、まぁいいんじゃないのつーことで。こーちゃんお幸せにね。
・無敵看板娘 #16(SHONEN CHAMPION COMICS)佐渡川 準
・アクメツ #17(SHONEN CHAMPION COMICS)作:田畑 由秋 /画:余湖 裕輝
・花右京メイド隊 #13(SHONEN CHAMPION COMICS)もりしげ
・EREMENTAR GERAD -蒼空の戦旗-#3(BLADE COMICS)東まゆみ
・あさっての方向(BLADE COMICS)山田J太
・STRAY LITTLE DEVIL #3(DENGEKI COMICS)森 小太郎
・サーティガール 03(JETS COMICS)岩崎つばさ カワイシンゴ
・撲殺天使ドクロちゃん #7(電撃文庫)おかゆまさき
・彼女は帰星子女 #2(電撃文庫)上野 遊
・サンダーガール! #2 牙の鳥(電撃文庫)鈴木 鈴
・ストロベリー・パニック! #1(電撃文庫)公野 櫻子
・リリアとトレイズ III(電撃文庫)時雨沢 恵一
・ゆらゆらと揺れる海の彼方 #6(電撃文庫)近藤 信義
・しにがみのバラッド #8(電撃文庫)ハセガワケイスケ
・とらドラ!(電撃文庫)竹宮ゆゆこ
・空の鐘の響く惑星で #10(電撃文庫)渡瀬 草一郎
・私立!三十三間堂学院 #3(電撃文庫)佐藤ケイ
雑誌で
・ドラゴンエイジ
・COMIC REX