・屍姫#2
僕は殺したくらいじゃ死なないヒロインが好きだ。その点では、星村マキナちゃんは既に死んでいるだけに、それ以上死にようはない。死体だからって、大人しいわけでもなく、言うなれば生きのいい死体だ。置き締めした魚みたいなもんかな。念のために断っとくけど、僕は別段死体愛好者って訳では無いので。そもそも死体にならないくらい生きの良いのが好きなんだよ。
んで。前巻は屍姫のギミックを見せる紹介編て趣だったのが、本巻以降はストーリーがメイン。33歳中年男性(主人公)がセーラー服女子高生を飼ってるつー辺りはどーでも宜しい。
景世君が、生前に守ることが叶わなかったマキナを、死して屍姫となった後に漸く守(られ)る立場となった皮肉とかはいいんだけど、対立側が定型文なのと構成の纏め方がごちゃついてるのがどーにも。主人公は、惚れた女(つーより守るべき妹分…娘だな)の、それも復讐なんかの為に人生を放り出してるので、少年誌的なモチベーションが足りないのはしゃーないっちゃしゃーないんですけどね。
主人公自身(が今後望んでしまうであろうもの)と対立側の望むべきものが一緒なんじゃないのかつーのは余談なので忘れて下さい。
米国の国防予算てのは、それなりに長期的な計画が出来てるんだけど、それを4年に1回の割でQDRつー抜本的な見直しをする。それを今やってる。
米国の置かれてる環境が変われば方針だって変わるのは当然。
まず、実働で軍隊を動かしているから、そっちに大金を喰われている。湾岸戦争なんてのは派手にやってた、実質的には腐れ弾の在庫処分てな面が強かったから、在庫が新しくなってラッキーってな出来事だったのに対して、今やってるのは地上部隊を貼り付けるつー金も人も喰う仕事だ。どれくらい喰うのか、物凄く大雑把なところで10兆円と10万人・年が毎年喰われてると思って良い。人員については、米軍ってアウトソーシングが進んでるから、これに3か5を掛けてやると常識的な動員数になると思う。(手持ちの資料足し合わせるだけで相当正確な数字出せるんだけど、僕はジャーナリストでも専門家でもないからスルーだ)
ここでの問題は金の方。
単年度で大金喰われただけなら良かったんだけど、どうにも今後も、中東にそれなりの大軍を張り付け続けてそうな節がある。つーか誰の目にも明々白々。てなわけで、前回のQDRの時に考慮もしなかった、継続的な数個師団レベルの継続動員が、色々なところの予算を細らせている。
具体的にどんなところが細ってるかつーと、将来装備は大体雁首揃えて細ってる。
ベトナムの時もそうだったけど、目先に揃えるべき買い物に追われて、将来への投資が出来なくなる。※
※F−14、F−15といった戦闘機はベトナム戦争期に、ある意味泥縄で開発された。何れも「その時点で手に入る最善の物」を掻き集めて、それを自覚するが故に各部がアップデートされることを前提として作られている。そういった意味では何れも、米航空産業にとっての「在来技術」の集大成でしかない。(それですら50年間第一線機なんだから、あの時代の米国って圧倒的だよなぁ)
手持ちの財産を総浚えしてしまった物だから、らぷたんに至るまで主力戦闘機を開発することはなかった。海軍に至っては代用品を主力戦闘機として、確保することそのものを止めてしまった。
端的なところで陸軍のコマンチ計画の挫折だろうか。実用品の頭数を今すぐ寄越せってことで、要するに新規開発機の導入費用が日々の運転資金に化けたって事だよな。(ここら辺がボディブローのように効いてくるのは結構先)
海軍の次世代駆逐艦(満載排水量2万トン近い駆逐艦…)なんかも、散々変転した挙げ句に、第2次大戦前だったら戦艦の計画数かい?って位に減っている。本来格上のDDG(アーレイバーグの新型)より汎用DDの方が遙かに少ないってのはどうしたもんだか。LCSに艦隊行動用のコンテナ積めば、機能的には実質DDだからそれで良いとも言えるけど、ありゃ偏った戦闘力はあっても汎用性はないし、すぐに腹ペコになる代物だぞ。(しょっちゅう燃料補給しなきゃならないから、空母と一緒の艦隊行動には向かないって事ね)
空軍だと、兎に角らぷたん(F−22。/Aが取れている)を一定数確保したいってのが第1優先で、それ以外は切り代と思ってるフシが強い。本来3バージョン作るつもりで居たF−35の固定翼タイプを1つに絞って空軍分の導入数を大幅に削り、浮いた分をらぷたんに回したいつーネゴを議会に対してやってるし、削れるものは何でも削ってらぷたんに回すぜ、ってな記事があっちゃこっちゃに見られる。
そんな中で割と頻繁に見られるのが、日本に売りゃあ製造数が増えて単価が下がるってこと。他の国の話はまるで出てこない辺り、米国側の立場で「売っても良い」ってのと買う側で「買える」ってのが一致するのは日本だけって事らしい。しかも、余程に数をこなしたいらしくて、普段じゃ考えられない好条件て事も散見される。(カナダが最初にF−18を導入したときに、数こなしたい事情があったので、最新鋭機だったのに米軍とほぼ同価格で買ってる例がある。らぷたんの場合だと200弱が約250に増えれる訳で、そりゃ目の色変わるか)
但し、米国は「売りたい」んであって、日本の「ライセンス国産したい」ってのと必ずしも一致しない。現在のF−15なんかにしても、旧来技術の集大成ってな意味では凄いものだったけど、加工に要する道具立てとか組み合わせとかが凄かっただけで、オブジェクトとして埋め込まれる電子装備とかエンジンとかにしても、最良の物を作って最適に組み合わせただけって意味合いが強い。工業の基礎側がしっかりしてれば、ドン殻の方はどれ程の物でもない。
それに対してらぷたんは、最善を得るために最適化したオブジェクトを用意したって面が強い。シャープの液晶とかじゃないけど、ドン殻含めて製造過程そのものがノウハウってのも従前と比較にならないほどありそうで、「完成品ならそこそこ安く売るけど」ってのが本音になるんだろう。(仮にライセンスするとしても本当の国産比率はゼロに近い物になるんだろうなぁ)
ちなみにそーなると、予算制度の違いから日本じゃ真っ当に動かなくなる予感がします。(少し違うけど完全外国製だけのを使って早々に機能しなくなったF−86Dとゆー前科が…。使う部品が買えなくなるって点では一緒だし。米空軍のはとっととアップデートするだろうから) 承知で、それでもノウハウ欲しいから買うってのもアリだけどさ。結論からすると「買ってくれると1番有り難いんだけど、どう?」ってなアプローチと思えばいいんじゃないかな。
#豪屋大介先生風に、世の理をエロゲ風に単純化して説明するなんてのは、仮にやってみて出来ても人目につかせたくないつーのを痛感してたり。僕は恥ずかしがり屋らしい