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魔神王ガロン #1(KKベストセラーズ)永井豪
永井豪が"魔神ガロン"を描く、と聞いたときに、どう反応して良いか分からなかった。そうは思うものの、企画者の意図は判らないでもない。
魔神ガロンは、本体の"魔"神たるガロンが、良心としての"神"であるピックを胸に収めて完全体となる作りになっており、"心"を無くして暴れ回っていたガロンのもとにピックが戻り、ガロン共々未来に去る形で物語は終了した。
永井豪の代表作の1つ"マジンガーZ"はタイトルそのものが「魔神」であるし、話中でもその製造者たる兜十蔵に言わせている「神にも悪魔にもなれる」という台詞は、神と悪魔が同居するガロン、におそらくは原点が有るのだから、永井豪氏が描くに当たっては"ガロン"を、或いは"ガロン"を描くとなれば永井豪氏が選ばれるのは当然の選択ではある。
さて。
本作は、かつてのガロンと同様な隕石が、13個まとめて地球に落ちてくるところから始まる。今回の"魔神"は、ピックの如き"心"は自前では備えず、代わりに人間を取り込み、魔神の身体を与えるというものである。主人公たる明王真(※1)君は、"ガロン"となった当初、感情が暴走して自衛隊の基地に大被害を与えたりもするが(※2)、かつての"魔神ガロン"を知る、伴拳一(※3)の導きもあり、"神にも悪魔にもなれる"力を正義の為に使うと決意する。
主人公が"神"として立ち回るならば、"悪魔"として立ち回るキャラクターもいる。羽武玉五郎(ハムエッグ)、汗血乱風(アセチレン・ランプ)が小悪党として登場するのも、宝夢(ロック・ホーム(※4))が何やら不穏に悪巧みしているのもお約束。芽瑠桃子(不思議なメルモ)が"大人"になって暴れたりするのは割と余談だが、手塚作品の主要(というか一般に対してメジャーな)キャラクターが続々と登場する。
以上、ざっと物語背景を説明してきたのは、
この作品をどう扱って良いか心底わからないからである。
先に述べたように、マジンガーZが既に"魔神ガロン"のオマージュが入っている作品なのに、その自作に対するオマージュ(※5)を重ねて"魔神王ガロン"は始まっています。それは間違いなく達成されているのですが、じゃあ読者がそれを見て面白いと思うかは別の問題です。実のところ、"魔神王ガロン"は手塚治全集400冊の何割か相当を普通に持っていて全部読んで憶えている上で、漫画版のマジンガーZを諳んじている人(※6)が読むと"にやり"と出来る、という代物でしかなく、存在する背景を抜きにすれば駄作以外の何物でもない。作者自身もそれは十二分に自覚しているのではなかろうか。
最後になるけど、僕には「世間のみんなは"永井豪"に一体何を求めているんだろう?」
という想いを日々抱いている。
「永井豪に緻密な組立の必要なストーリー期待する方が間違ってるだろう!!」
ってのは本音ですけど、いやまぁ事実だから言っちゃうか。長いこと永井豪のファンはやってますので、
これはこうしかならないから、これでいいんだよというフォローだけは入れさせていただきます。
PS1
意図してのことではあるまいが、同じ種類の力を持つ"超人"同士のサバイバルゲームは、某ライダーを髣髴とさせる。(何故"意図したものではない"と見做すのかは…ぱすいち(※7)) と言いつつ、主人公のスタンスが一番近いのは"Fate/stay night"の主人公たるシロウ君じゃないかって気が…。
PS2
"魔神王ガロン"を作品としてみないで、手塚治虫マガジン上でやってる、いち手塚ファンによる"手塚作品オルーキャストの同人もどき作品"と見做すと、…すみません。やっぱり米神が痛いです。
※1 手塚氏の長男の名前ですな。ちなみに妹として登場する"ルミ子"も長女の名前です。
※2 この件は漫画版「マジンガーZ」で、はじめて乗ったロボットの操縦方法が判らずに、市街地を破壊し捲った辺りに準ずる。本件は、"たまたま"そのときに光子力研究所を襲撃しに来た機械獣を撃退して、そのままうやむやになったらしい。"魔神王ガロン"では、うやむやにする件を伴氏に語らせている。(兜家はあれで大資産家だから、財産管理している弁護士辺りが居て、全て金で解決してしまったのかも知れない)
※3 ケン一君も見る影もなく父親の"伴俊作"(ヒゲオヤジ)そっくりになってしまって…。勿論、元警官で探偵屋ってのはお約束。
※4 ロック冒険記に初登場したときには正義感溢れる青二才だったのに、何時のまにやらピカレスク・ヒーロー以外の役が回ってこなくなったキャラ。割とナルシストが入る事も多く、少なからず不憫な感も受けるが、大抵の登場作で、主人公以上の活躍をしている。個人的には"アラバスター"に登場する彼が一番好き。
※5 永井豪は結構自作に対するオマージュ?というのをやる。(バイオレンスジャックを挙げるのが良いだろうか?) 同一テーマへの再挑戦とはあからさまに別枠なので、非情に困る作者である。"キューティハニー天女伝説"(ヒロインの青子さんは大変"肩幅"のある美女。ハニーは脇役です)なんぞは、正当にハニーの続きでありながら…。まぁ何でもありが身上だけど。
※6 どーせ全部持ってますよー。読んでますよー。と言いつつ
※7 仮に"石ノ森章太郎マガジン"が出ても、永井版仮面ライダーやサイボーグoo9は出ないだろうね、という辺りで。サイボーグoo9なんて、師匠1人アシ1人の2人っきりで描いていた頃もあったような。
PS3
手塚者で永井豪ファンという立場なので頑張ろうと思ったのですが…。頑張ったんだよ…。